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【書評(レビュー)】V字回復の経営 三枝匡著

 

この本では、7年間に渡る赤字により累計250億円の赤字を出したコマツの子会社が2年以内に黒字転換したサクセスストーリーと、その経営手法について述べており、それらについてまとめた。

 

経営改革は以下の4人のリーダーが揃わないと成功を収めることはできない。

・スポンサー役 お金と時間をくれる人
・力のリーダー 腕力(論理によって支えられた説得力)で押さえる人
・智のリーダー 正しい打ち手を生む人
・動のリーダー 皆を率いる人

 

経営者に必要なことが以下のような言葉で書かれている。

・人は厳しく損益責任を問われない限り、経営者として育つことはない。

・いつも次の成長分野に参入する努力が続けられなければならない。
 成功企業は攻めの戦略で成功し、ナンバーワンの地位を勝ち取る。
 そしてナンバーワンの企業だけが手にすることのできるメリットを享受する。

・戦略指針を与えれも、その実行をモニターするシステムがなければ、戦略は
 往々にして骨抜きになる

・過去に改革コンセプトを現場で試した経験があるか無いかで、指揮官の
 パワーとしては雲泥の差がでる

・自分の頭で考えたことで人と金を実際に動かし、その成功の喜びと失敗の痛みの
 中から、凄まじい学びを得て、腕を上げていく。

 

事業を元気にするの「五つの連鎖」
これら全ての改善が必要であり、どれか一つではいけない。

・価値連鎖
・時間連鎖
・情報連鎖
・戦略連鎖
・マインド連鎖  明確な戦略を示し、社員が走れるようシンプルなプロセスを組む

 

米国企業と比べた日本企業

・機能別分社化 営業の分離や、生産だけを独立会社にするなど

 ⇒一気通貫の組織体制が必要

・日本企業では優秀な人材も、晩年、機能別効率化の世界に放り込まれ、
 「創って、作って、売る」の全体経営責任を経験しない

 

事業を絞る時のマトリックス

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事業の絞り

 

改革メンバー(本書ではタスクフォースと言っている)の選定基準

・既存の枠にとらわれない者
・とんがった者
・独自の見識を新鮮に語れる者
・事業推進のできる者
・気骨のある者

 

改革の9つのステップ

1. 期待のシナリオ 自分としてはこうなってほしいというもの

2. 成り行きのシナリオ このままいけば事業はどうなるのかの絵を正確に描く

3. 切迫感 強烈な反省論から、会社の痛みを個人レベルにまで分解する

4. 原因分析 

5. シナリオ作り

6. 決断

7. 現場への落とし込み

8. 実行 突出部分に関しては短期勝負で一気に改革を進める

9. 成果の認知 

 

上記の4人のリーダーと、タスクフォース、経営者としての心得、五つの連鎖、

9つのステップにより、コマツ産機は生き返った。